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2005年06月29日
いつかの約束
先週、ようやく一つの物語が終わりを迎えました。
別々の道を歩むようになってから、ちゃんと話したのは10ヶ月ぶりでしたが。
あまり幸せそうではなく、寂しそうにしていたのが気にかかって。
あのころは、ただ黙ってそばにいるだけで。
あんなにも深く、素直に聴けたのに。
伸ばしてくれたその手を、何のためらいもなく握りしめてたのに。
いつからか、その形が変わって。
なんて簡単に。
他人に心を明け渡していたんだろうと、時々、強く。後悔する。
残していったもの。
置きっぱなしにして、それでもまだ忘れる事が出来なかったもの。
悲しみは今も日常のあちらこちらに点在していて。
通り過ぎる、街の匂いにも。
地下鉄の雑踏も。
太陽の匂いのするシーツにも。
それから、一人で食べる土曜の夕食と日曜の朝食も。
それでも、とにかく。
当たり前のことなのだけれども。
この悲しみにあふれた世界で私は、生きていかなければいけない。
今はまだ、無いけれども。
いつかこの世界の色彩が変わるかもしれないと思いながら。
久々の再会は、お互いの中の時計を再び動かすために必要な事でした。
たとえそれが痛みを伴うものだとしても。
ようやく、本当に意味で。
もう少しで、新しいスタートに立てそうです。
2005年06月13日
岐路
今年の4月から地元の長崎に帰って、新生活を始めている後輩がいます。
今まで通っていた大学を辞めて、新たに音大へ入学した後輩。
前向きな選択、のはずだったのですが。
いろいろな困難にぶつかり、前が見えなくなっているようです。
後輩は、明るくて人当たりが良く。
元から上手く立ち回るのが得意で。
それ故に今までは、困難から上手く逃げていたのですが。
過去から逃れ続けてきた課題と、いよいよ立ち向かわなければならない事になったようです。
久しぶりでしたが、かなりの長時間話し込みました。
女子大の人間関係。
経済的な問題。
自分の意志の不確かさ。
将来への不安。
そのようなものを全て抱え込み、身動きが出来なくなった後輩。
夢さえもいつの間にか色褪せて見えて。
理想と現実に、それでも何とか折り合いをつけて来たようですが。
さすがに少し、疲れたようです。
胸がつぶれる思いでした。
元気な声しか、知らなかったので。
いろいろ話している中で、気がつきました。
彼女が抱えているものも、今の私が抱えているものも。
実は同じ種類ものじゃないかって。
途中からアドバイスというよりは、自分の抱えているものを整理しているような感じでしたが。
なんとか、心の澱を洗い流すことが出来たようです。
つらくても、理解を得られなくても、批判されても。
妬みや嫉みを一身に浴びても。
それでもがんばって生きるんだよって。
今より前に進むんだよって。
なんだか改めて大切ものを再確認出来た気がします。
悩むって、大切ですね。
何が大切なのかを気づくためには。
とても苦しいのですが。
かたや音大で。
こなた社会で。
それぞれの抱えた課題をクリアするために。
大げさかもしれないけれど、自分の存在を懸けて。
自分の弱さと立ち向かおうと、お互いに改めて思いました。
次に会話するときには、きっと。
いつものにぎやかで笑いの絶えない後輩になっているはずです。
つらいことはたくさん。
でも、すてきなことも負けないくらい、ですよ。
2005年06月04日
遠い影
「私の指はあの日以来、麻痺したままなんです」
「今はようやく、右手はここまで上がるようになりましたよ」
「明日もリハビリに行くんですよ☆」
いつも通りの明るい口調で紡ぎ出された言葉の重さに。
思わず息を飲んだ。
何気ない会話の中の小さな告白。
今まで知るよしもなかった事実。
この言葉が良いのかどうかはわからないけれども。
正直、ショックでした。
それに気づけなかった自分にも。
「言われないとわからないでしょう?」
長いつきあいでその人の事をだいたい知っているつもりでいた、自分の傲慢さにも。
今日、その告白を聴いて以来、ずっと考えています。
それが何なのかは、まだ言葉には出来ないのだけれども。
「でも、車ももう運転できますしね!だいぶん小指と薬指の握力は戻ってきたので。」
「最初は右手で10kg無かったですから。」
困難に直面し、それに目を背けずにひたむきに乗り越えてきた人が語る言葉は、何故これほどまでに心を打つのだろう。
あの日以来、40度近くの高熱を出して。
4日間寝込んだ末に訪れた、突然の麻痺。
誰を恨むわけでも無く、ただ現実と向き合う事の難しさ。
だからこの人は。
これほどまでに暖かいのだと、ふと思った。
人はそれぞれ、自分の課題とともに生きている。
あるいは病。
あるいは人間関係。
あるいは自身との葛藤。
あるいは過去。
願わくば、
困難な運命に立ち向かう勇気を。
私に下さい。