2005年06月04日
遠い影
「私の指はあの日以来、麻痺したままなんです」
「今はようやく、右手はここまで上がるようになりましたよ」
「明日もリハビリに行くんですよ☆」
いつも通りの明るい口調で紡ぎ出された言葉の重さに。
思わず息を飲んだ。
何気ない会話の中の小さな告白。
今まで知るよしもなかった事実。
この言葉が良いのかどうかはわからないけれども。
正直、ショックでした。
それに気づけなかった自分にも。
「言われないとわからないでしょう?」
長いつきあいでその人の事をだいたい知っているつもりでいた、自分の傲慢さにも。
今日、その告白を聴いて以来、ずっと考えています。
それが何なのかは、まだ言葉には出来ないのだけれども。
「でも、車ももう運転できますしね!だいぶん小指と薬指の握力は戻ってきたので。」
「最初は右手で10kg無かったですから。」
困難に直面し、それに目を背けずにひたむきに乗り越えてきた人が語る言葉は、何故これほどまでに心を打つのだろう。
あの日以来、40度近くの高熱を出して。
4日間寝込んだ末に訪れた、突然の麻痺。
誰を恨むわけでも無く、ただ現実と向き合う事の難しさ。
だからこの人は。
これほどまでに暖かいのだと、ふと思った。
人はそれぞれ、自分の課題とともに生きている。
あるいは病。
あるいは人間関係。
あるいは自身との葛藤。
あるいは過去。
願わくば、
困難な運命に立ち向かう勇気を。
私に下さい。
投稿者 shell : 2005年06月04日 02:37